15回も無事故表彰された観光バスドライバーにインタビュー!安全運転の秘訣は仕事前の時間の過ごし方
阿部 さん 【 1998年 中途入社 】
ケイエム観光バス株式会社大森営業所所属 観光バスドライバー1998年1月16日キャリア(中途)入社。前職は金融関係の仕事をしていた。趣味は野球で、営業所の野球部に所属している。(取材日:2016年7月5日)
阿部(あべ)さん。観光バスドライバー。ケイエム観光バス株式会社大森営業所所属。1998年1月16日キャリア(中途)入社。前職は金融関係の仕事をしていた。趣味は野球で、営業所の野球部に所属している。(取材日:2016年7月5日)
阿部さんはなぜ観光バスのドライバーになられたのですか?
前職は、金融関係の仕事をしていました。「場立ち」という証券取引所で注文を出す仕事で、とても大好きな仕事でした。ですが支店へ異動になり、「営業」という仕事が私には肌に合わず、転職を検討するようになりました。
転職先を考えるときに「子供の頃の夢は何だっただろう?」とふと考えたのですが、遠足や修学旅行で乗っていたバスの運転手さんに憧れていたな、と思い出したんです。
とはいえ、いきなり大勢の命を預かって仕事をするのは危険だなと感じたので、まずは大型車で仕事をすることに慣れよう、と運送会社でトラックの運転手を1年程勤めました。大型車の運転手として自信もついたころ、当時働いていた運送会社からケイエム観光バスに転職した同僚がいたんですよ。その人から「いま募集かけているからチャンスだよ」を声をかけていただき、応募しました。受かった時は、小躍りするくらい嬉しかったですね。
念願の観光バスドライバーになれたのですものね!トラックの運転手もされたので、お仕事も順調なスタートを切れたのではないでしょうか?
大型車の運転に慣れていたとはいえ、やはりお客さまをお送りするのと荷物を運ぶのとでは、全然緊張感が違いました。
初乗務の日はガチガチに緊張していたので、今でもはっきりと覚えています(笑) 初乗務は2月だったのですが、なんと雪が降ったんですよ。行き先は立川公園だったので観光バスの仕事としては近距離ですが、それでも「どうしよう、事故せずに安全に無事終えられるだろうか」とガチガチに緊張しました。
先輩が運転するバスの後ろについて連れてっていただいたのですが、体がものすごく強張って動きがロボットみたいでしたよ(笑)
そんな様子を見兼ねてか、先輩が色々を気を遣ってくださったことがとても救いになりましたね。待機時間は、プレッシャーをかけるのではなくあえて普通に世間話をしてくださったり、「まあ、飲めよ」って温かい飲み物をくださったり。とても安心したのを覚えております。お陰様で、無事初乗務を安全に終えることができました。
安全にといえば、阿部さんは無事故表彰15回(15年間無事故)で表彰されているんですよね!すごいです!何か心がけていることはあるんですか?
ありがとうございます。
安全面で気をつけていることとしては、事前準備をして心に余裕を持てるような状況づくりを意識しております。
というのも、メンタルの状況って仕事に大きく影響を与えるんですよ。なので、不安要素は仕事前に出来る限り取り除いておくことが大事なんです。
例えば、目的地までの地理はどういう風になっているのかな?とか、慣れていたり行ったことのある場所だって、駐車場の入り口への導線が変わっていたりとか、道路工事をしていることだってあります。乗務の二日前にはスケジュールを知らされるので、不安な点があれば今でも必ず調べるようにしていますね。
あとは、先輩に話を聞くこともかなり大事です。経験が豊富な先輩方からは、地図を見ただけでは分からない現場のことがたくさん学べます。みなさんとても優しいので「ここのカーブは曲がり方気をつけてね」など丁寧に教えてくださいますよ。観光バスは胴長ですから、お腹が引っかかっちゃうような危険なカーブもあるんです。
「ケイエム観光バスのバスの魅力はどこですか?」とお伺いしたところ、「この色です。ベージュがいいんですよね」と語って下さいました。
なるほど、「事前準備」が安全運転の秘訣なんですね!安全面についてお伺いしましたが、お客さまをお迎えする上で大切にしていることはありますか?
安全第一はもちろんのこと、ブレーキのかけ方に気を遣ったりしております。運転にはやはりプロとして細部に気を遣っているので、お客さまから「運転上手ですね」と言って頂けたときはとても嬉しいですね。「いつもはバス酔いするんだけど、今日は大丈夫でした」と言って頂けた時も嬉しかったです。
あとは、バスガイドの案内に合わせて走り方も変えるようにしています。
バスガイドの案内に合わせて走り方を変える、とはどういうことでしょうか?
例えば、日本橋には「道路元標」という道路の起終点を示す標識があるのですが、道路の中央にあるので普通に走ってしまうと何も見れずに終わってしまうんですよ。なので、バスガイドが道路元標の話をしているときは、出来る限り徐行するんです。
他にも、秋葉原のAKB劇場の前はゆっくり走るとか、可能なときは寄せて止めるなど、バスガイドの話のポイントに合わせて走り方を変えております。
そんなことまでされているんですね!お客さまに良い時間を過ごしていただくためには、ガイドさんとの連携も大切になってくるんですね。
そうなんです。先ほどのバスガイドの話に合わせて走ることもそうですし、チームワークはとても大事です。これは観光の仕事に限らずどんな職場にも通ずることだと思いますが、やっぱり人間関係がギスギスしていたら素晴らしい仕事って出来ないと思うんですよね。
バスガイドって若い子が多いから、最近はバスガイドのお父さんと私が同じ歳だったりしてショックを受けることもありますが(笑)、自分の子供のような歳だからこそ成長が目に見えて感動するというか、親のような気持ちになってしまいます(笑)
バスガイドは、入社すると「ガイド講習」という実際にバスに乗りながらガイドの練習をするロープレのような研修があるのですが、その時にしどろもどろ話していた子が、数年後同じチームで仕事をすると堂々と自信を持って話している姿を見ると、「こんなに喋れるようになったんだなあ、成長したなあ」としみじみしてしまいます。
そういう、同じチームで一緒に仕事をしながら間近で彼女たちの成長を見ることができるのもこの仕事のやりがいの一つですね。
親のような気持ちで成長を見守ってくれる上司がいるなんて、素敵な営業所ですね。今後の目標はありますか?
お手本にしている先輩に少しでも近づくことです。
その先輩からは「魅せる運転をしなさい」と教わりました。なので、魅せる運転をするにはどうしたらいいか?ということをいつも考えながら走っております。例えば、バス複数台で連なって走る場合のバスとバスとの車間距離が開いたり縮んだりしないように一定の間隔をキープしながら走ることもひとつですし、坂道の走り方など挙げたらきりがありません。ひとつひとつ、先輩に教えていただきながら日々頑張っているところです。
目標となるような先輩がいる、というこの環境に感謝しております。「真似をしたい、こんな風になりたい」って思わせてくれるような人がいるって、仕事をする上で大事じゃないですか。
その先輩も無事故で表彰されているのですが、先輩は30回表彰されているので、私もそこに追いつくことが目標です。私は今年46歳(取材当時)になるので、もう1度のミスも許されません。それは、プレッシャーではなく安全運転で仕事をする上での良いモチベーションになっております。
これからも、楽しみながら、日々成長しながら、目標に向けて頑張っていきたいと思います。
阿部さん、ありがとうございました!