永山(ながやま)さん。ケイエム観光バス株式会社東京営業所所属。2010年バスガイドとして中途(キャリア)入社。趣味は旅行。(取材日:2017年11月14日)
今回は、バスガイドの永山さんにお話を伺います!首のスカーフがバスガイドって感じがしますね!
ありがとうございます。私、巻き方を工夫するのが好きで、お仕事で羽田空港に行くとフライトアテンダントさんたちの巻き方を見て研究しているんです。
ケイエム観光バスのシックな制服のアクセントになって素敵です。
前職は赤系の制服だったので、転職当時はベージュは雰囲気が違って新鮮でした。
永山さんは前職もバスガイドだったんですね。
そうです。短大を卒業してバスガイドとして入社したのですが1年で会社が倒産してしまって。知り合いに紹介してもらってケイエム観光バス株式会社の試験を受けることになりました。今は転職して8年目になります。
8年目となるともう毎回の仕事に余裕が出てきますか?
とんでもないです!お客さまにお会いする時は毎回緊張しています。明日も社員旅行で伊豆堂ヶ島温泉にいらっしゃるお客さまのガイドをするので、このインタビューが終わったら予習します!
どんな風に勉強されるんですか?
初めてガイドに行く場所だと事前に研修があるんです。教務の先生に座学で名所や案内ポイントを教えていただいた後に、実際にバスに乗って景色を見ながらノートを見てガイドの練習をします。伊豆は以前研修していただいた場所なので、その時のノートをもとに案内場所の確認をしようと思っています。
勉強熱心なんですね。
いえいえ!キャリア数十年のベテランの先輩が、すごく手の込んだ資料を準備している姿を見るとバスガイドはゴールの無い仕事なんだと思いますね。ケイエム観光バスにはお手本にしたい先輩方がたくさんいらっしゃるので日々刺激を受けています。
ベテランの大先輩今別府さんと本で勉強中。今別府さんはお客さまに「ガイドの今別府さん元気?」と聞かれるほど大人気だそう。
バスガイドさんの個性や人柄って印象に残りますもんね。永山さんはどんなガイドを心掛けているのでしょう?
お客さまに安心して旅行を楽しんでいただくことを大切にしていますね。例えば、お客さまの中にはバス酔いをしてしまっても、周囲に迷惑をかけないように黙っている方が多くいらっしゃるんです。
確かに、自分一人のせいでバスを止めるのも申し訳ないと思ってしまいそうですね。
あとは、お子さまの場合はほんのちょっとの移動距離で体調が悪くなることもあるんですね。旅行だからと緊張して早起きしたから睡眠不足で気分が悪くなりやすかったり。
小さい子だと自分の体調も言いにくいかもしれませんね。
そういったサインがわかりにくい場合でも素早く気づけるように、風景のあまり変わらない田園風景になったら、あえて後部座席の方まで歩いてお一人お一人のお顔を見るようにしています。そもそも酔わないようにクイズを出したり歌をうたったりして気を逸らすようにも気をつけているのですが、どうしても体調が悪くなってしまう場合もあるので。
バスによってはコーヒーサービスを行うことも
ガイドをしたり、盛り上げたり、車内の様子をよく観察したり、バスガイドの仕事ってまさに気遣いやおもてなしの仕事ですね。
新人の頃は自分のことだけでいっぱいいっぱいになって、お恥ずかしいことに周囲を気遣う余裕も無かったんですけどね(笑)
初仕事とか覚えてますか?
すごく印象深いですね。岩手県遠野市からいらした中学生のお客さまの東京案内をする仕事でした。どうして覚えているかというと、全く思い通りのガイドができなかったんです。。。
やはり緊張してしまって?
そうです。目の前に40名ほどのお客さまが座っていることに圧倒されてしまい、一生懸命暗記したはずの観覧車や建物の大きさが飛んでしまったんです。すごく反省してどうしようと思っていたら、引率の先生に「バスガイドさん、もしかして今日がデビューですか?」と聞かれてしまって、申し訳ないと思いつつ「そうです」とお答えしたんですね。
すると、最後上野駅でお別れというときに生徒の皆さんが一斉に「バスガイドさん、これからも頑張ってください!」と励ましの言葉をくれたんです。
ええ!それは嬉しい!
先生が生徒の皆さんに「みんなはバスガイドさんの最初のお客さんなんだから」と言ってくださったみたいなんです。自分が未熟なガイドをしてしまったのに、そんな優しい言葉をいただけて本当に嬉しかったですね。もっと頑張らなきゃ!と思いました。
お客さまからの反応がよく分かるのがバスガイドの仕事の良いところなんですね。
確かに、初めて訪れた場所に目が釘付けになってキラキラしているお客さまを拝見するとこちらも嬉しくなりますね。「ナイスリアクションありがとうございます!」って心の中でガッツポーズです(笑)
永山さんはバスガイドの仕事をとっても楽しんでいるんですね。
旅行が好きな方やお客さまとの交流が好きな方にはとても良い仕事だと思います。同時に、そうでないとできない仕事かもしれません。年に1〜2回は5時出社というときもありますし、春・秋のトップシーズンには連日旅行でどうしても忙しくなります。
でも、裏を返せば旬の時期に良いものがたくさん見れる仕事でもあるんです。秋は箱根や河口湖の美しい紅葉をこれでもかというほど楽しめますし、これから寒くなってくるとスキー旅行のお客さまのガイドのため美しい雪景色を見ることができます。年明けは連日初詣なので、凄いご利益があるんじゃないかって思いますよ(笑)
旅行好きな方にとってはたまらないですね。
私は休暇があるとすぐに旅行の計画を練るくらい旅行好きなので楽しいです。ガイドで行った場所が良ければプライベートで再び行きますし、仕事では食べられないソフトクリームをサービスエリアで食べるのも好きです。常に動いていたいタイプの人には向いているかもしれません。
他にもバスガイドの魅力ってありますか?
学生からお年寄りまで色々な年代の方と交流できるのも面白いです。小学生のお客さまとバスレクやクイズで盛り上がったかと思えば、お年を召したお客さまとは”東京のバスガール”という歌謡曲をカラオケで歌って盛り上がります。
楽しそうですね〜!
毎回、バスの雰囲気が変わるので飽きることがないです。
なるほど!では、そんな永山さんの今後の目標は?
そうですね、私がバスガイドを志したきっかけのバスガイドさんみたいに成長することでしょうか。
実は私は小学6年生の修学旅行で出会った優しくて可愛らしいバスガイドさんに憧れてこの仕事を選んだのですが、今でも山道を走るバスで体調を崩したお友達を親身にケアしている彼女の姿を覚えています。とてもお若くて可愛らしい方でしたね。彼女のように周囲に気を配れて優しく、話しかけやすい雰囲気のバスガイドになりたいと思っています。
永山さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!